高次脳機能障害で障害年金を受け取れる場合

文責:社会保険労務士 大原 啓介

最終更新日:2022年12月27日

1 高次脳機能障害で障害年金を受け取るための要件

 脳を損傷することによって、記憶障害、人格変化、注意障害などの症状が出て、社会生活を送る機能が減退することがあります。

 これを高次脳機能障害といいます。

 高次脳機能障害は障害年金の対象とされる障害の一つであり、各要件を満たせば、障害年金を受け取ることができます。

 障害年金を受け取るための要件には、①初診日要件、②納付要件及び③障害の程度が等級に該当していること、の3つがあります。

 このうち③に関して、どの程度の障害があれば等級に該当するといえるか、以下ご説明します。

2 各等級に相当すると認められる一例

⑴ 1級

 高度の認知障害、高度の人格変化、その他の高度の精神神経症状が著明なため、常時の援助が必要なもの

⑵ 2級

 認知障害、人格変化、その他の高度の精神神経症状が著明なため、日常生活が著しい制限を受けるもの

⑶ 3級

 ア 認知障害、人格変化は著しくないが、その他の精神神経症状があり、労働が制限を受けるもの

 イ 認知障害のため、労働が著しい制限を受けるもの

3 高次脳機能障害の等級認定のポイント

 2のとおり、高次脳機能障害の等級認定は、日常生活や労働に対する支障の内容や程度を考慮して判断されます。

 医師が作成する診断書には、日常生活や労働に対する支障の内容や程度に関する記載があり、等級認定においてその記載内容が重視されます。

 したがって、医師に対して、日常生活や労働においてどのような支障が生じているか等を具体的に説明し、診断書に反映してもらうことが大切です。

 なお、高次脳機能障害では、精神障害のほかにも、言語障害や身体障害などが生じることがあります。

 障害年金では、症状が現れる部位ごとに認定基準が異なりますので、言語障害や身体障害がある場合には、それぞれに対応する認定基準を確認した上で診断書の作成を検討する必要があります。

4 弁護士にご依頼ください

 高次脳機能障害を抱える場合、医師に対して、正確かつ適切に症状や日常生活等における支障内容を説明することが難しい場合が少なくありません。

 また、一旦、診断書が作成されると、後で修正することは容易でありませんし、正しく症状等が反映されていない診断書では、当然に適切な等級認定を獲得することはできません。

 そのため、高次脳機能障害で適切な等級を獲得して障害年金を受け取りたいとお考えの場合には、障害年金に精通した弁護士や社会保険労務士にご相談されることをお勧めします。

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