A型事業所・B型事業所に通っている場合は障害年金を受給できるのか

文責:所長 弁護士・社会保険労務士 古田裕佳

最終更新日:2025年07月08日

1 働いていないことは障害年金の受給要件でない

 障害年金の制度の目的は、障害によりお金を稼ぐことが難しくなった人の収入を補うことですが、現実に働いていないことが障害年金を受給するための要件とはなっていません。

 そのため、就労継続支援A型事業所や就労継続支援B型事業所(以下、「A型事業所」「B型事業所」といいます)に通っていたからといって、ただちに、障害年金を受給できないわけではありません。

 そもそも、障害年金の対象疾患のうち、眼の障害や聴力の障害等の外部疾患では、主に検査数値により障害の程度を認定するため、現実に働いているか否かは重要ではありません。

 一方、精神の障害や内科的疾患(内臓の疾患や難病等)による障害では、日常生活や労働への制限の程度を考慮して障害の程度を認定します。

 そのため、現実に働いている場合には、そのことが障害の程度が軽いという評価につながる結果、障害年金の受給に影響してくる場合があります。

 特に、精神の障害や、その病気に特定の認定基準がない難病等では、この傾向が顕著です。

2 A型事業所・B型事業所に通っていることの評価

⑴ 認定基準

 障害年金の認定基準は、障害の状態の基本を、「労働に著しい制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度のもの」を3級とし、「日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」を2級と定めています。

 そうすると、仮に、A型事業所・B型事業所に通っていることが、部分的は労働が可能である、すなわち「労働に著しい制限を受ける」程度と評価されると、等級は3級にとどまることになります。

 

⑵ 評価

 しかし、精神の障害に係る等級判定ガイドラインには、A型事業所・B型事業所に通っている場合に1級または2級の可能性を検討するとあり、2級以上の可能性もあることが示されています。

 これは、A型事業所・B型事業所が障害がある方向けの福祉サービスであり、障害がある方が働きやすいように配慮された環境であるからです。

 したがって、精神の障害がある方がA型事業所・B型事業所に通っていたとしても、それを理由として労働能力があるという判断はされません。

 このことは、内科的疾患についても同様だと考えられます。

 ただ、念のため、診断書の作成にあたり、医師にあらかじめ具合的な就労状況や作業内容を伝えるなどして、診断書の記載に適切に反映してもらうようにしたり、病歴就労状況等申立書に具体的な状況を記載するなどして、労働能力の有無・程度について誤解されないようにする必要はあると考えられます。

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